「2週間くらいで読めるかなー」とか嬉しそうに言ってた森博嗣 の"V シリーズ" のうち、文庫になってる5冊「黒猫の三角」、「人形式モナリザ」、「月は幽咽のデバイス」、「夢・出逢い・魔性」、「魔剣天翔」を読み終えました。ようやく。家ではほとんど読まず、朝晩の電車の中とかでしか読んでなかったので、こんなに時間がかかりました、とまずは言い訳。
なんかとうとつに高校のときの数学の先生を思い出しました。確か、乱数か確率あたりで出てきた話だったと記憶しているのですが、というかうろ覚えですが。
「来週抜き打ちテストをします、と宣言したとすると、次の1週間の授業は毎回今日か今日かと身構えることになる(から抜き打ちの意味がない)。結局テストが行われることなく週の最終授業になってしまうと、最初の条件からその日に必ずテストが行われることが明らかなので、これもまた抜き打ちの意味がない」
抜き打ちテストはその存在を明かさないことで抜き打ちテストの意味を持つ、というようなことだったと思います。似たようなので、「秘密は秘密にしているから秘密」、みたいなのもありますよね。「秘密だよ」といった時点でもう秘密ではないという。
そういえば映画「シックス・センス」でも冒頭に「この映画にはある『秘密』があります」とかありましたよね。あるトモダチはあの宣言があったがためにその「秘密」を暴くことに集中してしまい、結果映画の筋はあんまり楽しめなかった、とか言ってました。
つまり何が言いたいかというと、「本の内容については何も話せない」ということなのです。ミステリ小説で結末やトリックの種明かしを先に言ってしまうのはご法度、てのは当然ではあります。けどそれだけではない、かなりの衝撃を毎回受けました。これは凄い。
"S&M シリーズ" とはまた違った趣ですが、この人に"天才"を書かせると素晴らしいキレがありますね。ただ単に凄いトリックを書くのではなく、そのトリックを作り上げる"天才"の頭の中を少し覗かせてくれるような感じというか、頭の中がすっきり整理されている人の文章を読むのは少し賢くなった気がしてとてもイイです。
この5冊でベストを選ぶとすると、「魔剣天翔」。出だしからドキドキしっぱなしでしたよ。とても良質な時間をありがとう。
今はこないだ文庫になったばかりの短編集「今夜はパラシュート博物館へ」を読んでいます。今のうちに、まだ新書でしか出ていない後半の5冊、「恋恋蓮歩の演習」、「六人の超音波科学者」、「捩れ屋敷の利鈍」、「朽ちる散る落ちる」、「赤緑黒白」をamazon で注文しようそうしよう。
あとは…「四季」を読むための課題図書として森博嗣マニアのヒトから指定されたのは「スカイ・クロラ」と「女王の百年密室」だったかな。「迷宮百年の睡魔」も読むべきかな。まだまだ道のりは遠いです。